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熊本県で水俣病の認定申請の審査が再開されることになりました。

水俣病は、戦後の経済復興時の1950年代から問題になっている公害です。現在も認められていない方が少なからずいて、裁判の結果に基づき認定申請が再開されました。

日本の高度経済成長とともに副産物として出てきた環境公害の一つで熊本県水俣市周辺と新潟県阿武隈川周辺のみが認定されています。

今回は水俣病の発生原因であるメチル水銀について考えるとともに、現在の状況を整理します。

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水俣病原因と経路は?

水俣病は、有機水銀化合物、特に、メチル水銀が原因物質です。その原料となる水銀は、工場から排出されて川を経て海に至ります。

海に至った水銀は、海中のプランクトンによりメチル水銀に形を変え、そのメチル水銀を含んだプランクトンを海中の生物が食べることによって、生物内にメチル水銀を凝縮されます。

生態系の上位に属する大型の魚が、メチル水銀が体内凝縮した生物を食べることにより、高濃度に汚染されていくのです。

そして、人間がその汚染された魚を食べることによって人間も汚染されてしまうのです。この状態になった時に人間にもメチル水銀による毒物症状があらわれて、病気になります。

これが水俣病の原因物質の人間へのメチル水銀の伝達経路です。

ここでの問題は、工場側が水銀を含んだ水を排水してしまったことにあります。

どうしてそんなに長期にわたって問題が起きているのか?

認定が長期にわたっているのは、企業と国が責任を認めなかったことからです。

まず、初期の段階では何が原因で水俣病が発生したのかわかりませんでした。それに加え、メチル水銀を測定する方法がわかっていませんでした。

そのために、しばらくの間、別の物質が原因ではとなってしまい、原因をつかむのに時間がかかってしまいます。

その後、測定環境が改善し、メチル水銀が問題であることがわかるようになりました。

しかし、工場排水の出る川の汚泥から水銀が検出されても水銀を川へ排水した企業と国は責任を認めません。

なぜなら、責任を認めることにより、莫大な賠償金を払わなくてはいけなくなるためです。

被害者の原告側が裁判で勝訴し国と企業の責任になって、認定基準を作られたのちに、ようやく問題が認められて、患者が認定されてから、賠償金が患者にいきわたるようになったのです。

ここまででも相当の期間がかかっています。

しかし、問題発生当初において、症状が軽かった患者や症状が出なかった患者は認定されませんでした。

後になって症状が出てくるのは、こういった公害の問題では普通のことです。

そして、症状が出てから公害認定の認証をしても、国は工場との因果関係を認めません。

それによって、国は賠償金を支払うことが必要なくなります。

そのために患者側は、裁判を行い勝訴するまでに時間がかかってしまい問題が発生してから50年以上もたって認定申請が始まったという経緯になってくるのですね。

いまの日本での危険性や海外での危険性は?

日本では、水銀による人体への汚染の問題については、規制が作られたために新しい問題は少なくなりました。

しかしながら、発展途上国では、いま水銀を用いて工業製品を作っています。そして、環境対策がきちんとされていない状況です。

金採掘現場などでは、水銀を用いて金を精製しています。水銀の規制が強化されていない発展途上国ではこれからが、公害が発生するのです。もしくは、現在進行形で発生しているのかもしれません。

さらに、海に流れ込んだ水銀はメチル水銀と形を変えて、生態系の上位へ濃縮して移行していきます。

私たち日本人が食べるマグロなど大型の魚は、まさに、メチル水銀で汚染されているのです。

そのマグロの汚染は非常に深刻であるため、妊娠している女性が食べるのを禁止している国は多いです。欧米諸国では禁止国が多くなっていますね。

日本では、妊娠している女性の食べる量を制限するように促していることにとどまっています。

マグロなどメチル水銀で汚染された魚を食べることで水俣病の発生リスクはあります。

そして、それによって生じた問題は、責任の所在が不明なため、
だれも保証されないことになるでしょう。

まとめ

公害問題で一企業の責任と国の問題になり公害保証がされているのが水俣病です。その保障や認定は長期に渡っていつまでも続くことになりました。

しかし、責任者の特定をするのが非常に難しい事象に対しては曖昧なまま進む可能性が高いのです。

一人一人が十分な、正確な知識を持って、危険物を避けることが重要になりますね。気を付けていきたいものですね。