6500万年前の恐竜の絶滅の原因は様々な説が唱えられていて、小惑星や巨大な隕石の落下により地球の表面にチリが覆うことによって、地球の生態系が維持できなくなり大規模な生物の絶滅が発生したという認識でした。
ところが、先日発表された論文によると、新しい説で、もっともらしい説が発表されたのです。
詳しく見ていきたいと思います。
小惑星の衝突によって加速した大火山の噴火!
この件についての論文は、「Science」で10月2日に発行されました。
カリフォルニア大学バークレー校の地質学者によると、6600万年前に小惑星が衝突することにより、何十万年もの間、インドのデカントラップの火山の噴火が誘発されて、地球規模で大異変が発生したために、恐竜を含む生物が絶滅したのです。
この大規模な生物の絶滅に関しては、これまで様々な議論が繰り返されてきていました。火山の噴火が大量絶滅には無関係だという論もあれば、一方で、隕石の衝突によって長期の異変が起こり生物が絶滅したという論があったりと、どの論が最もらしいのか、決定できなかったのです。
その中で、小惑星の衝突後に火山が噴火していたという、年代測定ができた証拠がみつかりました。それは、インドのデカントラップの溶岩からです。
溶岩の量から推定された噴火は、小惑星の衝突前には遅いペースだったのが、隕石が衝突した後には、生物が絶滅したと考えられている期間である5万年間は、溶岩の放出量が2倍になっていました。
この隕石の衝突と火山の噴火から、大量のダストや有害な物質が地球を覆い、気候が変化し大量の生物が死んでいったとかんがえられるのです。
これだけの大量絶滅を引き起こした原因となった気候変動は隕石と火山の噴火の、何れかだけでは、引き起こすことはできません。
最初に隕石が衝突することにより、その衝撃が火山の噴火を誘発し、高頻度で大規模な噴火を引き起こしたことが原因になるのです。
この火山活動によって、生物が再び繁栄するまでに、50万年の期間を必要としました。これが、Cretaceousの時代の終わりとTertiary期間の始まりの間で、地球上の大型の生物と、海の中の生物が、化石の記録から消えてしまった期間になります。
年代を特定した方法は?
デカントラップの火山から放出されたと考えられる700の溶岩のサンプルの年代測定を、アルゴンの放射性元素を用いて行いました。
放射性元素の半減期を利用した年代測定で、火山活動が、隕石の衝突後の42000年以内に頻発していたことを確認したのです。
そして、その溶岩の放出量が、生物が絶滅するのに十分な量だったのですね。
まとめ
これまでの決着がつかなかった問題が、詳細な分析によって、小惑星もしくは水星の衝突によって地球の活火山の活動が活発になって、特にデカントラップでの火山活動が長期間に及んだことにより、生物が大量絶滅したということになります。
こうして、詳細な分析結果によって、はるか昔起こったことが分かってくるのは面白いことですね。
そして、生物の化石の記録も、この数百万年間の記録はなくなってしまっているのです。
現実には、生物は存在していたのでしょうが、その期間にに堆積した土砂が、後の時代に化石として残りにくい土砂であったために記録が発見されていない可能性もあるんですね。
なんたって、隕石の衝突と火山による大量のチリ、土砂、そして溶岩が地球上を巡っていた可能性があるのですからね。
今後、発見されていくこともあるかもしれません。
また、この時期と同じような、大量絶滅の時代が現代なのです。
地球温暖化のスピードと、生物の絶滅のスピードが、この恐竜が絶滅した時代と同じくらいの速いスピードで進展しているんです。
6500万年前とは違うのは、現代の絶滅の進行は制御が可能だということです。
関連記事: