イギリスの「Times Higher Education」から9月30日に2015年の世界の大学ランキングが発表になりました。
その発表によると、東京大学が、43位、京都大学が88位と日本の大学は軒並みランキングが下がっていました。
日本にも多くの優秀な人がいますが、大学の在り方を考えてしまうと当然のような気がします。
近年、大学の研究において何重視されていることが世界と日本で異なっていて、世界の流れから取り残されているような感じられます。
詳しく見ていきますね。
世界ランキングの指標となるのは?
大学の世界ランキングの指標となるのは、
- 教育
- 研究
- 論文被引用数
- 産業界からの収入
- 国際性
です。
これらの指標のうち日本のような研究費がたくさんあればは高い評価が得られる可能性があるのは、研究と、論文被引用数です。
ただし、今年は、小保方氏の論文ねつ造疑惑があっただけに研究に関しても何とも。
そして、現在の日本の大学の教育についても、世界的に行われている討論型の教育ではなく、座学による聴講タイプの講義が多数であるために、世界標準とはかけ離れているものと言えるのかもしれません。
その他の、国際性については、日本人の英語力を考えると、英語で授業が行われないところに多くの外国人が来る地盤がないといえるので、日本にとって弱いところです。
さらに、産業界からの収入なんてものは見込まれません。なぜなら、企業は企業で独自に研究開発を行っていて、大学は研究のための研究を行っており、起業と学問が完全に切り離されています。
そして、基礎研究から行っている大学側が、研究成果をもとに起業をすることを目的にしていないことも、産業との結びつきが薄いことの現れです。
もちろん中には起業を目的に研究しているところもあると思いますが、数は少ないです。
ランキングの選定に用いる指標を見ていくと日本の強みが分かりますが、それは、グローバルではそれだけでは評価されず、
日本の社会の重点を置くべきことがグローバル標準と異なっていることによって、世界的に見た日本の大学の評価が下がっているのです。
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起業家がなかなか育たない土壌
日本の社会では企業家はほとんど育たないではないだろうか。
近年の起業家の有名なところだと、ミクシーやライブドアなどです。東大在籍中に立ち上がったベンチャー企業ですが、ライブドアは、粉飾決済のために一気に解体が進みました。
それは、2015年に判明した東芝の粉飾決済の世間の対応と全く違っていて、社会の反応が、特に、ベンチャーに対して厳しいことが判明したのです。
しかし、近年では、こうした起業の例は日本では非常にまれで、そこまでの企業に短期間で成長したのは、ほとんどないんですよね。
一般的には、日本の学生は、大学、大学院修士を卒業とともに、たくさんの人が同時に就職するというのが当たり前の文化となっています。万一その流れに乗れなければ、社会からの風当たりが非常に冷たいものになってしまいます。
それは、人の考えからの面もありますし、社会の制度も、モデル化されたレールに乗っていないと、大変な苦労をする構造になってしまっていることもあります。
それに加えて、日本の大学生の意識の問題もあります。
まだ、優秀な学生の学問への取り組みはまだしも、多くの大学生が、大学での授業の取り組みが、卒業するための単位取得のために授業に取り組んでいることがあるんですね。つまり、大学では卒業単位取得が大学へ通う目的になってしまっていることです。
もちろん、その間に、自分で目標を見つけ、たとえば、起業や将来のための取り組みを行っているならまだしも、バイトに明け暮れ、貴重な時間を、有意義に過ごしていない人が多いのも実情です。
また、周りに起業家がほとんどいないということと、ほとんどの人がモデル通りに同じタイミングに就職活動をして、就職していくというレールがある以上、大学発の起業が増えるのは少ないのかもしれません。
まず、この日本社会のニーズに起業が含まれていない、かつ、起業しにくい土壌というのが大学の価値を下げる要因になっているのでしょう。
もう少し、大学・大学院で起業を目指して、研究が行われていってもいいように感じます。
英語が話せない使えない日本人
グローバル社会になりIoTが広まる中で、日本人の英語力は、まだまだ、世界的に見て相当低いレベルなのです。
そのために、日本では英会話などで自分で話す場所をお金を払って作り出さなければ話す機会が得にくいのです。
英語力は、日常的に話す機会がなければ上達しません。
頑張って勉強すれば、一定のレベルのはなりますが、英語がペラペラの人と口頭で議論して、交渉で自分の考えていることを相手に受け入れてもらうには相当の英語力が必要です。
もちろん、コミュニケーション能力、交渉力が必要ですが、それ以前に、英語が使えなければ意味がないのです。
日本にいては、英語を使うことができませんし、交渉力を付けることができません。
国際的な評価を上げるためには、まずは、英語が日常的に使える環境が作れていることが必要でしょう。
まして、英語のみで行われる授業が少ないなら、留学生も限られるし、国際性の評価が低いのは当然です。
交渉力は、日本人には、経験の積み重ねが絶対的に足りません。
まとめ
この世界大学ランキングは、評価内容を見れば当たり前で、グローバル化が進んで国際的になるのが当たり前の中、日本国内では日本語しか使えない状況によって、必然的に評価が低くなるのです。
また、起業家が育たない土壌というのも、将来の産業育成のためにもよくない土壌です。
しかし、多くの大企業がベンチャーからスタートしているのです。
今の大企業のために社会構造、政治が変わり、新しい産業が生まれ、ベンチャーが起こりやすい土壌になっていかないと、どんどん大学の世界的な評価は下がっていくのでしょう。
大学自体よりも、社会全体の考え方が今の状況を作っているのです。
まして、政府が、大学の文学部がいらないなどと、在り方に対して文句を言って変更を促すのはグローバルな評価が下がるだけなのです。
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