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昨年度から日本で70年ぶりにデング熱が流行していますね。そして、今年もデング熱は流行しているのです。

そして台湾では、今年は、たくさんの方がデング熱で亡くなったとの報道がされているようです。

 

蚊がいなくなるまでもうしばらくですが、ちょっと興味深い論文が発表されたので紹介しようと思います。

 

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蚊の生育状況が温暖化で変化

この研究は、北極圏の蚊の生育状況と気候の変化を調べたものです。

 

「The Journal Proceedings of the Royal SocietyB: Biological Sciences」で発表されました。

 

ダートマスカレッジでの研究によると、北極の平均気温が近年2度上昇することによって、蚊の成長が早くなり、今までよりも、より早い時期に蚊が出現することになるようです。

 

それとともに、蚊の数が爆発的に増大して、蚊が血を吸うカリブーを脅かすようになってしまうのです。

 

この研究からは、北極の平均温度が2度上昇することで、大人にまで成長する蚊の総数が50%上昇すると推測されています。

 

この発見が意味するところは、人間や野生動物の害虫の蚊が、ツンドラの植物の受粉させるものとして、北極圏を移動する鳥を含むすべての種族の食べ物としての、蚊の役割に影響することです。

 

この北極圏の蚊と捕食動物の関係が、この気候との関係のモデルは、温度変化と関係している、すべての生態系の動物の生存に当てはめることができることが予想されます。

 

つまり、気候変化により、全世界で温度が上昇し、虫の成長率や生存率といった生理学に影響を与えることが考えられるのですね。

 

北極の平均気温は、過去100年間で地球平均の2倍に上昇し、北極の少ない生態系の多様性が、単純な捕食動物と獲物の相互関係を単純化することになったのです。

 

北極の蚊は、ツンドラの春の時期の雪が解けた時にたまる一時的な池の中で成長し、捕食動物は水の中を泳ぐビートルだけなのです。

 

フィールドワークと実験室での研究で、温度上昇による影響をグリーンランドの未成熟の蚊を用いることによって蚊の成長率と死亡率を測定しました。

 

その結果、未成熟なボウフラの段階から、大人の蚊のステージまで、北極の将来の気候変化の起こりうる温度範囲で、温度がどのように蚊の生存に影響を与えるのかを調べることができたのです。

 

そして、暖かい温度により、蚊が2週間早く現れることが分かり、温度が1度上がるごとに10パーセントが幼虫と蛹の段階に生育が早まることが分かったのです。

 

この傷つきやすく水中で捕食されやすい幼生の時期が、短くなることで成長が加速されて大人の蚊が生き残る可能性が増しました。

 

2度温度の温度上昇のモデルで、蚊の生存の可能性が53%上昇します。

 

北極の蚊が生殖出来たのは、温暖化により、カリブーの分娩のライフサイクルと同調することができ、メスが血を吸う食べ物を見つけることを容易にすることができたのです。

 

カリブーの生殖の季節に、よりたくさんの血液を得ることによって、蚊にとっては努力することなく血を得ることが出来、子孫を残せるようになったのです。

 

蚊がたくさん増えて、より多くの害虫が、北の領域に拡大します。そして、カリブーの生殖活動に問題が生じてくることが考えられます。

 

この研究からは、温暖化によって北極圏のカリブーや、トナカイが蚊の大量発生によって生存が脅かされる可能性が出てきたことが分かったのです。

 

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この結果から考えられることは?

地球温暖化で地球の平均気温が上がることによって、蚊の生育が良くなってよりたくさんの蚊が現れてくることが予想されます。

 

地球の温暖化の傾向を見ても、ここ最近の温暖化の勢いは上昇の一途を上がっており、昨年度が過去最高、今年度は、それを更新する勢いです。

 

世界平均気温偏差 出展:気象庁ホームページ
世界平均気温偏差 出展:気象庁ホームページ

 

つまり蚊が生存するために良い条件がそろっているといえるのです。

 

これが、デング熱が昨年度から発生したことと直接には結びつくとはいえませんが、温暖化で日本の平均気温が上がったことで、蚊の生存に有利に働き、よりたくさんの蚊が日本で生存するようになった可能性があります。

 

そして、これまでよりもデング熱のウィルスを保菌する蚊が増えてしまったということも可能性としてあります。

 

台湾では、今年は過去最高のデング熱の死者が出たといいます。これは地球規模での温暖化が原因の可能性があるといえるのではないでしょうか。

 

さらに気温が上がってしまった場合にはマラリアなどの懸念も生まれるのかもしれませんね。

 

 

まとめ

今回は、北極圏の蚊の生育が、平均気温が上がることによって、よりたくさんの蚊が生存できる状況になることが分かってきた研究成果を見てきました。

 

これは、蚊の捕食動物が、限定できる理想的な状況での評価であり、単純に、多様な生態系のある日本の気候には適用しにくいですが、単純化したモデルが適用できるからこそ、温暖化の影響がもろに効いてくることが分かったのです。

 

とりあえず、温暖化が進むと蚊が爆発的に増える可能性があるのです。

 

それは、そのまま、デング熱のウィルスなどを媒介とした蚊が、たくさん発生しやすくなることを意味しているのです。

 

という訳で、エルニーニョ現象の影響で、来年も暑い時期が続くことが考えられ、この研究からもデング熱ウィルスを媒介とする蚊もたくさん発生することがあるかもしれません。

 

十分注意しておきましょうね。

 

蚊の対策は万全にしておいて、蚊に刺されないようにしたいものです。

 

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